保険業界が生き残りへの転換期で異業種再編や「デジタル革命」でリスク予見

 現在、保険業界が大きな転換期を迎えており、病気や事故などのリスクに備えて支払われる保険料が保険会社の収益の柱となっているのですが、人工知能(AI)で膨大な情報を分析する「デジタル革命」により企業や消費者はリスクをより早く、正確に予見できるようになり、「予知できれば保険はいらない」というそんな時代の到来がにわかに現実味を帯びる中で業界は変革を迫られているようです。
 そんな保険業界の転換期における異業種との再編等についての記事をSankeiBizが掲載していましたのでご紹介したいと思います。


保険業界、生き残りへ転換期 「デジタル革命」でリスク予見、異業種再編も
( SankeiBiz 2019.3.11 07:15 )
 保険業界が大きな転換期を迎えている。
病気や事故などのリスクに備え支払われる保険料は保険会社の収益の柱だ。
 だが、人工知能(AI)で膨大な情報を分析する「デジタル革命」により、企業や消費者はリスクをより早く、正確に予見できるようになる。
「予知できれば保険はいらない」。
 そんな時代の到来がにわかに現実味を帯びる中、業界は変革を迫られている。


未来の介護研究
  昨年11月1日。東京・大手町に生命保険大手の住友生命保険とアクサ生命保険が共同で運営するオフィスが開設された。
 両社から各3人の社員が常駐し、ここで取り組むのは介護関連サービスの開発だ。
介護の知見や専門性を持つ新規の提携先を発掘するのが主な業務で、両社の保険契約者などに介護サービスを提供できるか可能性を探る。
 今年2月5日には、損害保険大手のSOMPOホールディングス(HD)も介護関連の施設を東京都内に設置。自動走行する車いすなどが動き回るこの施設では、最新のデジタル技術を使った「未来の介護」について研究を進めている。
 保険大手が相次いで介護事業に力を入れ始めた背景には、高齢化による将来的な介護市場拡大への期待の大きさがある。また介護保険契約者のデータ活用など本業との高い親和性も要因の一つだ。


「成り立たない」
 一方、新たな事業領域に踏み込まざるを得ないのは、「デジタル技術の進歩でさまざまなリスクが減れば、既存の保険事業は成り立たなくなる」(SOMPOHDの桜田謙悟社長)との危機感があるからだ。
「あなたの寿命は80歳前後、発がんの可能性は60%、太りやすい体質で生活習慣病の可能性は80%…」
 進化したAIやビッグデータを活用し遺伝子情報を分析すれば、生まれたその日に自分の寿命や発病リスクを知ることができる。
災害や事故の可能性をある程度把握できる社会が到来した結果、国民のほとんどは必要最低限の保険にしか加入しなくなる-。
 ある経済産業省の幹部が予測する未来の保険業界の姿だ。技術革新に加え、労働人口の減少などの社会構造の変化も考慮すれば、業界の展望は暗い。
大和総研が2017年にまとめた試算では、業界全体の生命保険契約高は約860兆円から20年後には約100兆円も減少すると推計する。
 損保業界全体の正味収入保険料の約5割を占める自動車保険はさらに深刻だ。
AIを活用した自動運転車やカーシェアリングの普及で車の保有台数や事故発生率が激減すれば、既存の自動車保険市場は消失しかねない。
監査法人KPMGによると、自動車保険市場は40年までに約6割も縮小する可能性があるという。


新サービス提供
 技術革新でリスクはどの程度回避できるのか。国立情報学研究所の喜連川(きつれがわ)優所長によると、「偶発的な事故や病気、想定外の災害までを予想し、完璧にリスクを回避するのは非常に難しい」という見解だ。
とはいえ、リスク回避の精度が高まれば病気や事故が減少し、「これまで事故後の補償を事業基盤にしていた保険業態は変革せざるを得ない」と断言する。
 既存の保険商品での差別化が難しくなる中、各社は保険で蓄積したデータをAIで分析し、「リスクを回避するサービスの提供など新ビジネスで稼ぐ企業へと変わっていく」とみる。
 実際、保険各社はIT企業を中心に異業種と提携し、新技術を使った新たなサービスの開発にかじを切り始めた。
個人の健康データを取れるウエアラブル端末を活用し、健康な人ほど保険料が安くなる「健康増進型保険」はその典型だ。
 損保業界でも、年内にはAIで契約者の運転の仕方や事故状況を分析し、保険料や事故時の過失を即時に判定する新サービスの提供などが予定される。
 デジタル技術と保険が融合していく中で、GAFA(ガーファ)など巨大IT企業の保険業への参入も大きな脅威としてくすぶる。
 IT大手幹部は語る。
 「保険会社のメイン商品がサービスへとシフトすれば、異業種を巻き込んだ再編もあり得る」
(西村利也)

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