少額短期保険業と少額短期保険代理店業の動向

 保険業のうち一定の事業規模の範囲内において保険金額が少額で、保険期間1年(第二分野については2年)以内の保険で保障性商品の引受のみを行う事業については「少額短期保険業」が設けられています。
この聞きなれない少額短期保険についての解説記事をご紹介してみたいと思います。

少額短期保険とは何か?既存の保険との違い
執筆者:平野 敦之 損害保険ガイド
 この記事では、少額短期保険とは何か説明します。
少額短期保険業者が保険業法の改正により2008年から発足しています。
無認可共済からの移行や新設によるものですが、既存の生命保険や損害保険とは様々な点で異なっています。
少額短期保険の特徴やポイント、注意点についてお話しします。


少額短期保険業者と保険会社の違いとは?
 2006年4月に改正保険業法が施行され、それまで根拠法がなく共済を運営・管理していた業者・団体(いわゆる無認可共済)が保険業法の規制の対象となりました。
 この規制により原則、無認可共済における事業運営が2008年3月末に終了(根拠法のある全労済、JA共済、県民共済とは別なものです)。
 それに代わりでてきたのが、「少額短期保険」です。
制度発足から10年以上が経ちました。
 無認可共済は2008年4月以降、少額短期保険か保険会社(生保、損保)に事業形態を変えたところ、廃業したところなどざまざまです。
 現在、保険や共済などの加入を検討する際には、保険会社(生命保険会社・損害保険会社)、少額短期保険業者、そして全労済やJA共済などの根拠法のある共済のいずれかです。
少額短期保険と保険会社、共済との区別のついていない人も多いと思います。
少額短期保険とは何か?気をつけるポイント、保険会社との違いについて解説します。


少額短期保険とはなにか
 少額短期保険は保険会社・共済とは違うものということを最初に確認してください。
少額短期保険とは、一定の事業規模の範囲で取り扱う保険金額が「少額」、そして保険期間が「短期」(通常1年ですが損保分野は2年以内)で保険契約の引き受けだけを行うものです。
 取り扱う具体的な保険種目は後で解説しますが、生保分野だけ、損保分野だけ、もしくは1社で生損保両方を取り扱っているケースもあります。
いずれもこれらの特徴から「ミニ保険会社」と言われることもあります。


少額短期保険業者ってどのくらいある?
 金融庁の免許を受けている保険会社の数は、生命保険会社41社(2018年4月2日現在)、損害保険会社52社(2018年4月2日現在)です。
少額短期保険業者は財務局の管轄になりますが、2018年5月1日現在で97事業者です。


少額短期保険の取り扱い保険金額
 少額短期保険の取り扱う保険金額が「少額」であることは既にお話しした通りです。
少額とは具体的にいくらで、生保や損保とどのくらい違うのか確認してみましょう。


少額短期保険業に関わる保険金額
 少額短期保険は、保険の種類によって保険金額(契約金額)に制限があります。
少額短期保険には緩和措置があり、一定の要件のもと、所定の金額まで契約することができます。
下記の表に加えてその下の注意書き等も確認してください。


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少額短期保険の保険金額

少額短期保険の経過措置
 特定保険業者であった少額短期保険業者等は、2023年3月31日までの間の激変緩和措置として、再保険に付すること等を条件とし、被保険者に対して少額短期保険業者が引き受けることのできる金額を、それぞれ以下のとおり定めています。
・2013年3月31日時点既契約の被保険者であった者
それぞれの区分で定められた上限金額の5倍(ただし、医療保険については3倍)
・2013年4月1日~2018年3月31日の間で新規契約の被保険者
それぞれの区分で定められた上限金額の3倍(ただし、医療保険については2倍)
・2018年4月1日~2023年3月31日の間で新規契約の被保険者
それぞれの区分で定められた上限金額の2倍


傷害を原因とする特定重度障害保険の保険金額
 死亡保険、傷害死亡保険または重度障害保険が同時につく場合、特定重度障害保険の支払額から死亡保険、傷害死亡保険または重度障害保険の支払額を減額されるものに限る。

※3低発生率保険
 低発生率保険とは、損害保険のうち特に保険事故の発生率が低いと見込まれるもので、個人の日常生活に伴う損害賠償責任を対象する保険(自動車の運行に係るものを除く)。

少額短期保険と保険の違い
 それでは少額短期保険と保険は何が違うのでしょうか?具体的に異なる点について解説します。
それぞれの特徴や主な項目による比較は下表のとおりです。


少額短期保険業者と保険会社の比較
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少額短期保険と保険会社の主な違い
 保険会社のほうが規模が大きく、規制も厳しいのが分かります。
もちろん少額短期保険業者がダメということではありません。
 資本金だけで言えば保険会社設立の方がはるかに大変でしょうが、少額短期保険も大手の資本が入っているところもたくさんあります。
実際には特にシステム構築などが、保険会社の方がはるかに大変なのです。
 保険会社とこのような違いのある少額短期保険業者ですが、実は取り扱う保険商品にも保険会社とは違う特徴があります。
契約者としては生損保の保険料控除の対象にならないところは覚えておきましょう。


少額短期保険と共済の違い
 共済はそもそも非営利事業です。不特定多数ではなく、特定の地域や職域などに所属する人を対象にします。
組合員にならないと加入できないのです。
 ここが少額短期保険や保険と違うところです。割戻金があるので掛金が安いことが多いですが、保険会社のように保障を選びづけしたり、少額短期保険のようなユニークな独自商品、最新の商品を開発したりはちょっと苦手なのが共済です。
 ちなみに共済も全労済・JA共済、県民共済、コープ共済などがありますが、すべて違う制度です。また地域ごとにもさまざまな共済があります。


少額短期保険ってどんな保険があるの?
 少額短期保険と既存の保険会社、保険商品を比べてみると、その独自性やユニークさが目を引きます。
現在、少額短期保険の登録をしている業者の商品には次のようなものがあります。

・ペット保険
・地震費用保険
・賃貸入居者用家財保険、借家人賠償責任保険、個人賠償保険
・生命保険
・医療保険
・傷害保険
・各種費用保険

 例えば既存の損害保険会社のように、自動車保険や火災保険、地震保険など販売できる保険を一通り取り扱っているわけではありません。
これも少額短期保険の特徴である程度取り扱う商品を絞っています。
 最後の費用保険金とういうのは本当に幅が広くあらゆるものの「費用」です。
例えば地震災害で被災した際の費用、山岳遭難した際の費用、チケットがキャンセルになった際の費用、スマホなどのモバイル機器の破損の費用などほんとうにさまざまです。


少額短期保険の業界動向
 事実上制度がはじまって10年経過しましたが、大手企業が少額短期保険に参入するケースが増えています。
買収したり、新たに少額短期保険業者を作ったり形態はさまざまですが、新たに保険会社を作るよりは保険業界に参入するハードルが低いこともあるでしょう。
 少額短期保険を入り口に保険業界に新たに参入あるいは既存の保険会社が手を広げているケースがあります。


少額短期保険の契約でのポイントと注意点
 保険と共済、どれが良い・悪いという話ではありませんので、契約のときにはどこで、何の(少額短期保険・生損保・共済)契約をするのかの確認を忘れないようにしてください。
 少額短期保険の場合は、その多くが社名に○○少額短期保険などとなっているので社名を見れば判断できるでしょう(一部例外あり)。ここまでみてきたように少額短期保険、保険(生損保)、共済、それぞれ制度や仕組み、商品は違います。
 少額短期保険の中には、既存の生損保の保険会社・共済にはないユニークな保険商品も取り扱っています。こんな保険ないかな、と思ったら探してみると少額短期保険にはあるかもしれません。
 保障(補償)は少額なので、不足する場合の上乗せに利用する、一定期間だけ保障(補償)がほしいとき、少額短期保険しか扱っていない保険に加入するなどが主な利用方法です。

更新日:2018年06月11日

少額短期保険業者とは?
 少額短期保険の登録業者の販売商品別内訳は次のようです。
家財・賠償責任保険などの損保系商品と、生命・医療保険など生保系商品を販売する業者が全体の約9割です。
 この他はペット保険、見舞金などの費用保険などを販売する業者です。
・2019年4月17日現在100事業者


少額短期保険業に関わる規制
 少額短期保険業を行うには、まず所在する財務局で登録を受けます。資本金は最低1000万円です。
事業においては、年間収受保険料は50億円以下の限定があります。
50億円を超過するのであれば保険会社としての免許を取得しなければなりません。 保険商品の制限もあります。
 保険期間は、損害保険では2年、生命保険、医療保険では1年です。
被保険者にも区分制限があり、かつ総額は1000万円以内、1つの保険契約者数は100人以下の規制があるのです。


NPO法人の共済事業
 この法改正の最大の問題点は、資本金の確保、管理団体の規制に対応できない団体が多く出ました。
この法改正の目的は、共済を隠れ蓑にした無認可共済を規制することでした。
詐欺行為やマルチ商法の撲滅を行うものでした。
 しかし、健全な運営を行っている自主共済も法の対象となり、経営が成り立たなくなった団体もあるのです。
特にNPO法人の共済事業では、資金面、人材面での確保ができず、「保険業」の経営はそのままでは難しい状況です。


共済事業規制の新たな動き
 保険業では、アクチュアリー監査制度を導入することが必要ですが、ほとんどの法人は人材がいないため外部に委託しなければなりません。
 そのための委託料の負担が大きな問題です。
 また、保険業法は、共済事業の収益を他に転換してはなりません。
NPOでは運営手段にそういった手法を用いていましたのでそれもできなくなります。
2010年4月に金融庁は「共済事業の規制のあり方についての方針(案)」を国会に提出しました。
認可特定保健業者の設置について触れられています。
 認可特定保健業者は、「2005年の保険業法改正時に現に特定保健業者を行っていたものであって、一般法人または一般財団法人であるもののうち、一定の要件に該当するものは、当分の間、行政庁の認可を受けて、特定保健業をおこなうことができる」とされています。
 現在審議中ですが、この法律の成立によっては特定保健業と少額短期保険業では、枠組みの違いもあるので、注目されています。


【 参照 】
・All About マネー
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