水災被害の公的補償 民間保険も合わせて備え

 今年も台風などによる水害が相次いでいるのですが、被災したときにまず助けになるのが公的な支援制度なのですが、主に地震においては住宅損壊に対して適用されるという印象があるのですが一定規模の浸水被害も対象となるのです。
しかしながら生活再建するためには不十分な面が強いために、民間の保険と合わせて備えを考えることが必要とされます。
 自然災害で住宅に被害を受けた人に対しては、主に被災者生活再建支援法と災害救助法に基づく公的給付があるのですが、それぞれ適用条件は異なっており、住宅被害の程度について「全壊」「大規模半壊」「半壊」という区分で判定されて支援金の有無などを決める仕組みとなっています。
 そこで、自然災害による被害対策として公的補償と民間保険会社の保険とを組み合わせて備えることが必要であることをこの記事では解説をしています。


水災被害の公的補償 民間保険も合わせて備え
(日本経済新聞 2016/9/17 )
 今年も台風などによる水害が相次いでいる。
被災したとき、まず助けになるのが公的な支援制度だ。
主に地震による住宅の損壊に適用する印象があるが、一定規模の浸水被害も対象になる。
ただ生活を再建するには不十分な面が強い。民間の保険と合わせて備えを考えよう。
 自然災害で住宅に被害を受けた人には、主に被災者生活再建支援法と災害救助法に基づく公的給付がある。
 それぞれ適用条件は異なるが、住宅被害の程度について「全壊」「大規模半壊」「半壊」という区分で判定し、支援金の有無などを決める仕組みだ。

 被災者生活再建支援法は、10世帯以上の住宅が全壊した市町村などに適用する。
1995年の阪神大震災をきっかけに制定され、2000年の鳥取県西部地震や07年の能登半島地震、新潟県中越沖地震を受けて改正を重ねたことから、震災による住宅被害を対象にするイメージがある。
 しかし豪雨や洪水による住宅の浸水被害も支援の対象だ。
例えば15年9月の関東・東北豪雨災害で約1800世帯、14年8月の広島市の大雨災害で270世帯に適用した。
浸水被害のほか、土砂崩れで住宅が損壊した世帯も多くが対象になった。


最大200万円加算
 どの程度の被害が支援対象になるのだろうか。住宅が流失した場合はもちろん、残ったケースでも1階の天井まで浸水すれば全壊と認定する。
床上1メートルに達する浸水は大規模半壊となる。全壊は100万円、大規模半壊では50万円の基礎支援金を受け取れる。
 いずれも新たに住宅を建設・購入する場合は、最大200万円の加算支援金がある。
床上1メートル未満の浸水は半壊と認定され支援の対象外。
ただ公的給付がないわけではない。


画像


 「災害救助法を申請すればよかった」。
関東・東北豪雨で被災した茨城県常総市の50代の主婦Aさんはこう話す。
玄関の一部が壊れ、床も使えなくなったが、浸水は膝上ぐらいまでだったため被災者生活再建支援法の申請は諦めた。
最近になって、半壊でも災害救助法の対象になる可能性があると知ったという。
 災害救助法には大規模半壊または半壊の世帯を対象に応急修理を提供する仕組みがある。
1世帯あたり最大57万6000円相当の修理を受けられる。
市町村の人口に対して一定数以上の住宅が全壊した場合に適用する。
最近では8月末に台風10号が直撃した北海道で20市町村、岩手県で12市町村が適用を決めた。

 修理できるのは柱や屋根、外壁など住むために欠くことができない部分。
内装や給排水管などは基本的に対象外だ。
大規模半壊の世帯が応急修理を受ける場合は所得制限はないが、半壊では原則として前年の世帯収入が500万円以下という条件がある。
 しかし公的給付は全壊で最大300万円、大規模半壊で災害救助法も含めて最大307万6000円にとどまる。
全壊した住宅を建て直すのは無理で、大規模半壊でも災害救助法の対象は主要構造部に限られる。
ファイナンシャルプランナー(FP)の清水香氏は「高層マンションの上層階に住む人以外は、火災保険で備えるのが大切」と助言する。
特に住宅ローンの返済が多く残っている人は加入した方がいいという。

 火災保険は火災による損害をはじめ、落雷、強風による被害(風災)、豪雨などの住宅被害(水災)も補償する。
損害保険ジャパン日本興亜では火災保険金支払い実績のうち、最も件数が多いのは風水害となっている。


画像


主流は全額補償
 大手損保が現在扱う火災保険は、免責額(自己負担額)を除く損害額を全額カバーするものが主流。
加入時に保険金額と免責額を決め、実際に被害が出たときは損害額から免責額を差し引いた金額を保険金として受け取る。
 ただし保険料は自然災害が増えているため、昨年10月の改定で引き上げになった地域が多い。
内閣府が今年2月に発表した「水害の備えに関する世論調査」によると、水害補償に未加入の人は45.1%。
理由として「自宅周辺で水害は起こらない」(43.4%)のほか「保険料が高い」(17.0%)が目立った。
 損保各社は条件次第で保険料を割り引く商品に力を入れている。
例えば東京海上日動火災保険や損保ジャパン日本興亜は昨年10月から、水災補償を抑えた商品を扱う。
補償の上限を保険金額の70%に抑える「水災リスク縮小型」で契約すると、年間保険料は通常の保険料よりも10%ほど割安になる。


画像


 水災への備えでは、地震による津波が原因の浸水被害は火災保険で補償されないことにも注意が必要だ。
カバーするには地震保険にセットで加入することが必要だが、地震保険料は来年1月から上がる地域が多い。
「どれくらいの保険料を負担できるか慎重に考えよう」とFPの平野敦之氏は話している。

(川鍋直彦)

「半壊」以上の被害は復興融資の金利が有利
 自然災害で被災した人が住宅を復旧する場合、住宅金融支援機構を通じ「災害復興住宅融資」を利用できる。
対象は「半壊」以上の被害を受けた人だ。
 新たに建てるなら建設資金として1650万円、土地取得資金970万円、整地資金440万円の合計3060万円を借りられる。
さらに特例加算額として510万円を上乗せできる。
 融資期間は35年(木造一般住宅は25年)、金利は年0.39%(全期間固定、特例加算分は年1.29%)。
マイナス金利政策で民間の住宅ローン金利も下がり、8月に一部都銀で年1.4%弱(全期間固定、31~35年)まで低下したが、復興融資の金利はなお有利といえそうだ。


画像


FC2 Blog Ranking
画像



拍手する