節税保険”販売中止でギラギラした若手保険セールスマンが消える?

 今までブログ内において国税局の「節税」効果がある金融商品の扱いに付いて問題視していることから保険業界に対して保険販売についての指導が入り、生命保険業界大手4社が2月中旬に特定の法人向け定期保険の販売を停止する意向を明らかにしました。
 この節税保険販売中止により保険業界では、「節税」効果があるとして中小企業の経営者向けに販売競争が加熱していたものが人気商品を失った業界が今後どうなっていくのかという事に関してbizSPA!フレッシュより生保業界従事者の声と合わせて現状について書かれた記事がありましたのでご紹介してみたいと思います。


“節税保険”販売中止で、ギラギラした若手保険セールスマンが消える?
( bizSPA!フレッシュ 2019/05/04 08:47 )
 生命保険業界大手4社が2月中旬に、特定の法人向け定期保険の販売を停止する意向を明らかにしました。
この金融商品は「節税」効果があるとして、中小企業の経営者向けに販売競争が加熱していたのですが、人気商品を失った業界が今後どうなっていくのか?
生保業界に従事者の声と合わせて書いていこうと思います。


節税保険に対する国税局の“鉄拳制裁”
 まず今回、取扱中止になった保険の概要についてですが、各社からさまざまな商品が出されているなかで共通しているのが、「保険料の支払いが100%近い割合で、損金計上できる点」「短期間での解約返戻率が高く設定されている点」です。
 保険料の「損金計上」とは、法人税の対象である課税所得から保険料を損金として差し引きできるというものです。
 これにより、法人税の支払額を圧縮することができます。
「解約返戻率」とは、定期保険を解約した時に戻ってくるお金が、実際に払ってきた保険料に占める割合です。
この返戻率が高い時に解約すると保険料がたくさん戻ってきます。


解約を前提とする契約が増加していた
 加入者はこれによって、年ごとの法人税額を抑えつつ、返戻率が高いタイミングで解約します。
返戻金には税金がかかってしまうので、役員の退職金や設備投資などにこれをあてることによって、納税額を調整することができました。
 そのため、これらの商品は「節税」効果が高いとして、経営者による解約を前提とする契約が増加していました。
 しかし、国税局はこうした状況を問題視するようになり、ついに「解約返戻率が高い商品の損金計上の割合を下げる」旨の案を生保の各担当者に示しました。
保険本来の目的である相互扶助よりも、副次的な効果である節税に重きを置いた商品設計・販売方法が問題視されたのだと考えられます。
 この案は決定事項ではないのですが、保険商品の節税効果を今後、保証できなくなることを懸念した各社が取扱いを中止にした次第です。
また、実際に税法改正があった際に既存契約には干渉されないようにしている意図も伺えます。


「もうやっていけない」関係者から悲痛な声
 現状、人気商品を扱えなくなったことによって、法人向けに生命保険を販売して手数料を稼いでいる代理店や個人事業主の方たちは「経営が厳しくなった」と言います。

 都内生命保険会社勤務のTさん(28歳・男性)は、こう嘆いていました。
「自分たちは保険商品の販売元として他にも様々な法人の保険を扱っているが、それでも株価は大きく下がり、仕事の量も減ってしまった。特に節税目的の保険をメインに扱ってきた代理店からはもうやっていけないという愚痴をよく聞く。
 今後、国税局の示した案が実際に採用されるか否かで、生命保険業界の景気は大きく変わってくるが、少なくとも以前よりは確実に規制がかかってくる。悠長に発表を待ってないで逃げる準備だけはしとかなければと思う」
 実際、Tさんは転職サイトに登録し、転職活動中だという。


今の生保業界では稼ぐのが難しい
 また、別の保険セールスマンはこのようにも語っていました。
「5~6年前ならまだしも、金を求めて今の生命保険業界に入ってくる若者は先行きを考えていない人が多いと思う。しっかり調べさえすれば、今の生保業界では稼ぐのが難しいことなんてすぐわかるよ」
 国税庁が発表した損金計上に関する規制はまだ確定してはいませんが、業界内では何かしらの規制がかかり、従来のような節税効果を発揮できなくなるという見方が強いようです。
 節税という刃を失いつつある生命保険業界。
販売対象は縮小し、競争が激化すれば会社も淘汰され、人材も飽和してしまうでしょう。
今後の生保業界はお世辞にも明るいとは言えないかもしれませんね。

<TEXT/水村耕史>

【水村耕史】
税理士。Switch税理士法人をはじめとするSwitchコンサルティンググループの代表。
20代開業税理士として企業の税務・経営相談を行なっている。


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